2013-02-22

「送迎支援の憂鬱と」 中村和利(特活!風雷社中)


「送迎支援の憂鬱と」 中村和利(特活!風雷社中)

2013.2.20 配信


スピーカー:中村和利

パーソナリティー:茂野俊哉

大変遅ればせながら2月放送アップしましたm(__)m今回は風雷社中 支援事業 風:fuuが日頃行なっている通学・通所支援について。「行きたくない」と意思表示を示した本人に我々は複雑な思いを抱えつつも目的地へと誘導していく。「学校や施設に行きたくない」って本人が意思表示をした時に僕らは、どう対応していくことが必要なのだろうか?本人、支援者共に憂鬱な思い。風雷社中代表 中村和利と、風雷社中にて送迎支援を担当しているopensession代表 茂野俊哉がこの送迎支援について話す。


1送迎支援について

この2年半くらい特別支援学校や学級、そして通所施設への送迎支援が支援事業 風:fuuの仕事として増加の一途を示している。
僕らは障害を持つ人達の「社会参加」を進めていくMISSIONの下に活動をしているのだが、この送迎支援について非常に悩ましく考えている。

学校や日中活動の場面への参加は、確かに社会参加の「一つ」であるから、その支援を行うことに問題はない。
行政が「移動支援事業」の送迎への適用を認めたコトは非常に評価している。
本人が行きたいトコロ、いくべきトコロに行くコトの保障はされてしかるべきことだ。

しかし、本人が「行きたい」のならばだ。

「学校や施設に行きたくない」って本人が意思表示をした時に僕らは、どう対応していくことが必要なのだろうか?


2学校・施設に「なぜ」行きたくないのか?

知的重度の障害をもつ彼・彼女らの真意は計りきれないが、いくつか思い当たるコトはある。
・他に行きたいトコロがある
・学校・施設に行くことが苦痛

他に行きたいトコロがあり、通学・通所のルートからの離脱を本人が主張することがある。
例えば天気の良い日にバスや電車に乗って外出したいのだろう。
そして、行くべきとされている目的地(学校・施設)に、そもそも行く動機が希薄だったりする。
さらには、苦痛だったりする場合もあるから、行きたくないってなるのかなと。

この時、僕らは彼・彼女らを説得して目的地へ誘導していく(T_T)


3説得の状況と憂鬱

行きたくないと違うルートを求めたり、立ち止まり動けなくなったりする時に、無理やり引きずり連れて行くコトは当然できないし、したくもない。
あなたの希望に添えないことを伝え、申し訳ないが行っていただけないだろうか?ってお願いするしかない。
しかし、コチラとしても「行きたくないトコロには行きたくないよなあ」って思うので複雑な気持ちだ。

本人が強い拒否を示す力があれば、学校・施設に行きたくなければ行かなくていいって選択肢も浮上するのだが、、、大概は説得に応じてくれる。
「日頃関係性がある、お前がそこまで言うなら、しかたない行ってやるよ、嫌だけどね」
「行きたくはないけど、そんなんなら行くよ、行けばいいんだろ」
って声なき声がそこにはある。

ここで学校・施設に行かないって時の問題点をいくつか

1家族は学校・施設に行って欲しいって思っている場合が多い
・世間一般で求められているコトに答えてほしい
・出来ないことはできるようになってほしい
・日中のケアもすべて家族で行うことは困難

2学校・施設に行かないことは本人のワガママ、多少の苦痛は頑張って乗り越えて欲しいって考え方
・行くことへの動機付けが上手くできていないのに本人の課題とされてしまう
・強要によってイケるようになり、そのまあ適応する場合もある

3学校・施設が良く言うコトバに「来てしまえばスムーズに参加している」
・目の前の状況しか見ていない(見ようとしない)
・課題を本人にみだしていて、自分たちの改善点を見落とす

4学校・施設に行かないって選択肢を認めてしまうと、まったく行かなくなるのでは?それを支え続けるコトは非常に困難なコト
・ここが重要、学校・施設に変わる日中活動の場がなければ、自宅にこもることにもつながる、そうすると居宅介護等での対応も考えられるが、それで良いのか?


4さて、これから何を用意していかなくてはならないのか?

実は全然まとまっていない話なのですが、考えていく方向を模索しています。
でも、今ある材料のみで模索しても先に進めないので材料を増やす作業に取り組もうかなと考えています。

◯学校・施設にいかなくてもケアが保障される状況作りを考える
・在宅でのケア体制の確立(これは病気などで休む際にも必要)
・学校・施設以外の居場所の確立(本人の選択幅を増やす)

◯学校・施設にいかない(いかないこともある)って状況について議論の場をもつ
・個別支援会議として設定する
・webなどで開かれた議論の場を設ける
(実験的に公開のFacebookpageを設定してみた、セッションには中村、田中、志村が参加
 「通学・通所について考えるグループ https://www.facebook.com/groups/486208278081427/ 」


この2点に改めて取り組みをもち、そこから見えてくるモノがないか?って考えている。


「送迎支援の憂鬱と」 中村和利(特活!風雷社中)